梅雨の晴れ間となった通学路を、ふたりの女子が歩いている。

式場白夜と王妹だ。

明晰夢を見たと語る王妹に、白夜はひとつの疑念を抱く。

 

一方、ディラン志弦に怪奇幻想小説を勧められた工藤十和子は、

恐怖という概念について考察する。

そして、日常に退屈した彼女らは、十三不思議の謎に挑む。

 

Re:World──六つの学園からなる、一つの楽園。

 

『世界再生の書物と一つの楽園』から一ヶ月。

今、再び、華久楽大付属雅高等学校を舞台に、物語が幕を開ける。

異界再訪の扉と十三の不思議
異界再訪の扉と十三の不思議

 

『異界再訪の扉と十三の不思議』

著者:秋山真琴

表紙:宵町めめ(くらやみ横丁

発行:雲上回廊

初出:第2回「モジノオト

日程:2014年3月8日(土)

価格:300円(Amazon 400円)

判型:A6(文庫本)

頁数:72ページ

部数:150部

世界再生の書物と一つの楽園ラフイラスト集

「そうですね……エドガー・アラン・ポーの『黒猫』なんてどうでしょう」
「それも、怖い話なの?」
「『恐怖は人類の最も古い感情である』クトゥルフ神話で知られるラヴクラフトの言葉です。後、これは私が好きな、或る幻視蒐集家の言葉ですけれど『怪談は、幻想文学の中でも、最も原始的であり中核』」
「どういう意味なのかしら」
「恐怖という感情と、人類の進化の系譜は、密接な関係にあるように思うんですよね。分かりやすく言うと、恐怖×進化」
「え?」
「ごめんなさい。えっと、つまり『黒猫』は怖い話ということです」

(本文40ページより)